どこがどうだというのではない。
むしろ、役場からの訪問者だというので、礼儀をわきまえた対応だと言ってもいい。
だがわかるものなのだ。
案内された部屋のようす、Kさんの訓練教室での楽しそうな表情とは違ったバツの悪そうな顔......。
私たちは、つくった笑顔を氷りつかせたまま、しばらく話をしてから家を辞することになった。
「あれじゃ、家にいるよりは、教室に来たほうがいいよね。やっと、やって来る理由がわかったよ」
「互いに何があったのかしらないけど、あの雰囲気じゃ息がつまりますね」
それ以来です。
私がSさんに向かって、心から「よく来ましたね」とか、「また来てくださいね」と言えるようになったのは。
この場合も、私のSさんへの見方は、訪問によっていわばゼロからプラスに転化しました。