老人ケアに必要なのは想像力だ、などと言ってきた私だが、私のSさんを見る目は、訓練室でジャージの上下を着たSさん、つまり訓練の対象者としてのSさん、という枠からちっとも出ていなかったのではあるまいか。
それ以来、Sさんのニコリともしない顔への私の感じ方は変わってしまった。
マイナスの評価がむしろプラスに変わったのだから、訪問というのはすごい。
行つてみなければわからないことがたくさんある。
訪問で見る目、感じ方が変化するこんなこともあった。
保健婦が1人だけという、小さな町での機能訓練教室に、月に1度出かけていったときのことです。
Kさんという男性が毎回参加してくるのだが、ちょっと腰が痛いくらいで、別に障害があるのでもない。
なにしろ小さな町での事業だから、対象者を選別していたり、期限を切ったりしていたのでは、参加者はいなくなってしまう。
だから、参加してもらうのはちっとも構わないのだが、"Kさんはなぜ来てるのかな"という疑問を、いつももっていたのです。