ある日、脳卒中になって以来、通院以外は何年も家から出てないという女性の家に、例によって"ポン引き作戦"、つまり、何とか機能訓練教室に来てもらうよう、男性としての魅力まで動員して誘い出すことだが、その"作戦"の成功(次回の参加を約束してくれたのだ)に気をよくしての帰り道、「Kさんの家が途中ですが、寄ってみますか」と保健婦さんが言うのです。
正直言って、PTとしては、Kさんに興味はない。
だが、時問もあることだし、ちょっと行ってみるか、と思い、突然の訪問ということになった。
もっとも、保健婦さんの言う"途中"というのは、過疎の町の時間感覚、空間感覚によるものらしく、山の中を、これでもかというくらい入りこんだところだったのだけれど。
「毎回、こんなところからわざわざ来てるんだなあ。それにしてもどうして?」という私の疑問は、家の庭で家人と出会ってすぐに氷解してしまった。
家人の私たちへの対応は、Kさんと家の人がうまくいってないことを痛感させるに十分だったのだ。